女性の泌尿器科
頻尿、血尿、尿漏れ、排尿痛、下腹部の違和感、下垂感などの症状がある場合は泌尿器科の受診をおすすめします。当院では泌尿器科専門医が診療を行っており、ウロギネと言われる泌尿器科と産婦人科の境界領域にまたがる診療の経験も豊富なため、気軽にご相談ください。また、女性の方が安心して受診できるよう、患者さんのプライバシーに配慮した診療を心がけております。
泌尿器疾患には早期に適切な治療をしないと深刻な状態に進行してしまうケースがあります。また、命にかかわることがない良性疾患でもQOL(生活の質)を大きく低下させてしまう場合もあります。検査内容や治療方針は患者さんと相談しながら決めていますので、安心してご相談ください。
このような症状はありませんか?
トイレに関する症状
- 強い尿意が起こってトイレに駆け込む
- 強い尿意が突然起こってトイレに間に合わないことがある
- 行ったばかりなのに、すぐにまたトイレに行きたくなる
- トイレの場所がわからないと不安になる
- トイレを我慢するのが難しくなった
- ライブ、映画、スポーツなどで、途中何度もトイレに行く
- トイレの不安から外出が億劫になる
- 頻尿・夜間頻尿
- 排尿痛
- 残尿感
- 血尿
- 尿の色が濃い、白濁している
- 尿意があるのに少ししか出ない
- くしゃみや咳で漏れる
- 下腹部に違和感がある
- 膣から何か触れる
- 陰部にしこりを触れる
女性の泌尿器疾患
過活動膀胱
過活動膀胱は、脳と膀胱を結ぶ神経の障害から起こる神経因性と、それ以外の原因で起こる非神経因性に分けられます。過活動膀胱の9割が非神経因性であり、主な原因として骨盤底筋の衰え、下部尿路の閉塞、女性ホルモンの減少による膀胱の過敏化などがあります。妊娠出産、更年期や閉経、加齢による筋肉の衰えなどによって生じることが多く、年齢を重ねると発症リスクが上昇します。
排尿筋が過剰に収縮することで膀胱に尿を溜められず、各症状が現れます。主な症状は、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感(突然起こる強い尿意)、切迫性尿失禁(突然起こる強い尿意でトイレに間に合わない)などがあります。QOL(生活の質)を低下させるため、早めにご相談ください。
膀胱炎
大腸菌などが膀胱に感染して発症します。主な症状は、頻尿、残尿感、排尿痛、尿の白濁、血尿などです。女性は身体の構造上、感染リスクが高くなる泌尿器疾患です(尿道が短いため)。適切な抗生物質を用いることで症状が比較的短期間に解消できます。症状がなくなっても炎症が解消するまで治療を続けないと再発を繰り返すことがあります。また。膀胱炎の症状は膀胱結石や膀胱がんなどとも共通しているため、こうした症状を繰り返している際には泌尿器科での診察が必要となります。
また、膀胱炎は尿意の我慢や冷えが原因となる場合もあり、疲労や睡眠不足などのストレスで免疫力が低下すると感染しやすくなります。また、性交渉や温水洗浄便座などの使用などが感染リスクになることもあります。
血尿
見た目でわかる肉眼的血尿と、尿潜血検査を行ってはじめてわかる顕微鏡的血尿に分けられます。肉眼的血尿は膀胱炎、膀胱がん、腎臓がんなどが疑われます。痛みがある場合には膀胱炎をはじめとする尿路感染症が疑われます。顕微鏡的血尿は、尿路結石や腎炎などの可能性がありますので、健康診断などで指摘された場合には症状がなくても早めに泌尿器科を受診しましょう。
神経因性膀胱
膀胱や尿道の神経障害によって、排尿に関するさまざまな症状が現れます。尿漏れや尿失禁、排尿困難などもありますが、尿意を感じにくくなるケースもあります。進行すると腎臓にもダメージが及び、腎機能低下につながる可能性があります。
先天性疾患、脊柱管狭窄症や脊髄損傷、直腸や子宮の手術、加齢などによって生じることがありますので、原因疾患の確定診断を受けることが重要です。排尿に関する症状がある場合には早めに泌尿器科を受診しましょう。
膀胱がん
膀胱の内側にある尿路上皮(尿路上皮)という粘膜に発生するケースがほとんどです。膀胱がんは、内側に向かってがんが隆起する表在性膀胱がんと、膀胱の外に向かって進展する浸潤性膀胱がんの2つに分けられます。表在性膀胱がんと浸潤性膀胱がんを比較した場合、浸潤性膀胱がんは悪性度が高く転移しやすい傾向があります。
50歳以上の高齢男性に多い傾向があります。超音波検査、尿中のがん細胞の有無を調べる尿細胞診、膀胱鏡検査などを行って診断します。当院では痛みの少なく極細の内視鏡を導入しております。
腎臓がん
腎臓は血液をろ過して老廃物や余計な水分などから尿を生成し、尿管に送り出す役割を持っています。それ以外にも造血や血圧、骨生成のコントロールにも関与しています。尿を作り出す部分にできるのが腎臓がんで、尿の通路になっている腎盂にできるがんは腎盂がんと区別して呼ばれています。
腎臓がんは男性の発症が多い傾向にあり、透析治療をされている方は発症しやすいとされています。発症する年代は幅広く、40~70代の発症が多いとされています。早期には自覚症状に乏しく、ある程度進行してから肉眼的血尿や疼痛、腹部腫瘤などの症状が現れます。
尿路結石
尿路結石は激しい痛みで発症する、泌尿器科疾患で最も頻度が高い疾患です。レントゲンや超音波で診断することができます。生活習慣の乱れと遺伝が関連していると言われています。できた場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石に分けられます。
治療は排出可能なサイズであれば、薬物療法で痛みを緩和させながら自然に排出するのを待ちます。結石が大きい、または下に降りてこない場合には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿管砕石術(TUL)などの治療が必要となる場合もあります。
また、半数近くが再発することが知られており、自然排石した後や、破砕治療後にも継続した通院が必要となります。
尿道ポリープ
尿道のポリープは尿道出口近くにでき尿道カルンクルと呼ばれることもあり、更年期過ぎの女性に多い疾患です。出血や痛みなどの症状がある場合には薬物療法や手術を行いますが、症状がない場合には定期的な経過観察を行います。まれに悪性腫瘍(がん)もあることから一度泌尿器科への受診をおすすめします
尿勢低下
尿の勢いが以前より弱くなった、尿意があるのに尿がうまく出ない、残尿感があるなどの症状がある状態です。加齢などで排尿に関与する筋力が低下して生じることもありますが、尿の勢いが低下するのは疾患の症状として起こっている可能性もあります。尿勢低下は体から異常を知らせる重要な症状のひとつです。お気軽にご相談ください。
間質性膀胱炎
頻尿、尿意切迫感、尿を我慢すると下腹部に痛みを生じるといった症状をきたす、慢性的な膀胱炎です。さらに排尿後は疼痛が軽減・消失することも特徴の一つです。女性に多い疾患で、症状は急性膀胱炎や過活動膀胱と似ていますが、全く別の疾患です。
症状から急性膀胱炎と診断されて抗生物質を内服したり、過活動膀胱として治療されることがありますが、十分な治療効果は見込めません。尿検査をしても異常がなく、炎症所見もないことから精神的な問題と誤解されるケースもあります。泌尿器科では症状緩和に導く治療が可能です。治りにくい膀胱炎がある場合には、お気軽にご相談ください。
骨盤臓器脱
膀胱や子宮、腸などの臓器は、骨盤底筋群に支えられています。骨盤臓器脱とは、骨盤底筋群の筋力低下やゆるみなどによって支えを失い、下がってきてしまう女性特有の疾患です。最初は違和感程度の症状しかありませんが、その後、膣からピンポン玉のようなものが触れたり、常に何かがぶら下がっている感じがします。腟口から膀胱、子宮、直腸が脱出します。早期に発見できれば骨盤底筋群の訓練で改善が可能ですが、進行した場合はペッサリー挿入や手術が必要になります。
尿失禁
意思と関係なく尿が漏れてしまう症状で、急な腹圧がかかって漏れてしまう腹圧性尿失禁、突然強い尿意に襲われて漏れてしまう切迫性尿失禁などがあります。前立腺肥大症(男性)や骨盤臓器脱など、疾患の症状として尿漏れや尿失禁の症状を起こすこともあります。タイプや原因疾患に合わせた治療が必要です。
頻尿/夜間頻尿
頻尿は幅広い泌尿器疾患に共通した症状です。頻尿の症状がある場合には原因に疾患が隠れていないかを調べることが重要です。排尿の頻度には個人差がありますが、一般的に日中の排尿が8回以上になると頻尿と診断されます。また、就寝時に1回でもトイレに起きる場合は夜間頻尿です。適切な治療で改善できますので、年齢だからとあきらめずにご相談ください。
反復性尿路感染症
腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路が細菌に感染して炎症を繰り返している状態です。尿道口から侵入した細菌が尿路を遡って感染する上行性感染によって生じているものが多く、炎症を起こしている場所によって腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎などに分けられます。
尿道の短い女性がかかりやすい疾患であり、排尿痛など排尿の際の不快感が主な症状です。放置してしまうと再発を繰り返して治りにくくなる可能性がありますので、気になる症状があれば早めの受診が大切です。
腎盂腎炎
細菌感染による腎盂や腎杯、さらに腎実質の炎症です。多くが膀胱からの細菌が逆流することによって引き起こされます。症状は膀胱炎と同様の症状に発熱、背部痛など症状が合併します。治療は抗生物質の投与(点滴)を行います。 腎盂腎炎を放置すると血液中に菌が侵入し、血液を通じて全身に菌が行きわたり敗血症という重症な感染症となり生命の危機に陥ることがあります。
泌尿器検査
尿検査
尿を採取し、成分の分析によってタンパク質や糖の有無を確かめ、顕微鏡による観察で赤血球や白血球の有無を確認します。
超音波検査
超音波を当てて、腎臓、膀胱、前立腺、精巣などの状態を調べます。痛みや不快感がなく、被ばくの心配もない安全な検査であり、繰り返し行うことが可能です。当院では最新の機器を導入し患者さんの小さな異変にすぐに気が付けるように努めます。
膀胱鏡
細い内視鏡を尿道に挿入して、尿道と膀胱の粘膜を直接観察できます。主に血尿がある場合に行われることが多く、炎症の状態や範囲を把握できます。また、膀胱がんの診断にも有効です。
当院では、検査時の痛みを少なくするためにオリンパス社製の先端が先細い加工された軟性鏡を使用しています。
尿流測定検査
尿の勢い・1回排尿量・排尿時間などを専用のトイレで計測します。当院で導入している尿流測定検査装置の専用トイレは普段通りに排尿することで検査が可能です。患者さんへのご負担なく、排尿障害の程度を正確に調べることができます。