血尿について
血尿は、腎臓、尿路、膀胱、尿道などに疾患が隠れているというサインです。血尿には、目で見てわかる肉眼的血尿と、見た目では分からず検査を行ってはじめて分かる顕微鏡的血尿があります。
肉眼的血尿も顕微鏡的血尿のどちらの場合も疾患が隠れている可能性があります。血尿があった、または健康診断などで尿潜血陽性を指摘された場合には、早めに泌尿器科を受診してください。
血尿の原因
疲労などによる免疫力低下
過労や睡眠不足、ストレスなどによって免疫力が落ちると尿路の感染リスクが高くなり、血尿を起こすことがあります。女性は尿道が短いなど構造的な問題で細菌感染による膀胱炎を起こしやすいため、特に注意が必要です。
冷えや血流の悪化、トイレを我慢するなども膀胱炎リスクを高めます。膀胱炎は再発しやすいため、泌尿器科を受診してしっかり治すことが重要です。
疾患による症状として起こる血尿
膀胱炎だけでなく、細菌感染による腎盂腎炎、慢性糸球体腎炎などの症状で血尿を生じることがあります。また、腎臓結石・尿管結石・膀胱結石といった尿路結石で、結石が移動する際に尿路の粘膜を傷付けて血尿を起こすことがあります。細菌感染や結石による血尿の場合、頻尿、排尿痛、下腹部・背中・腰の痛みを伴うことがあります。
血尿が起こり痛みなど他の症状が乏しい場合には、腎臓がん・膀胱がん・前立腺がんなどが疑われます。できるだけ早く泌尿器科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
血尿の症状がある病気
急性腎炎
血液をろ過し、尿を作る糸球体に炎症が起きている状態です。子どもの発症が多く、発症のピークは小学校低学年から高学年にかけてです。咽頭炎や扁桃炎といった上気道の炎症や皮膚の感染症を発症し、その数週間後に急性腎炎を起こすというケースが多くあります。
主な症状には目の周囲のむくみ、尿量減少、動悸、倦怠感などがあります。上気道の炎症や皮膚の炎症が治ってからしばらくして症状が現れた場合には、速やかに泌尿器科を受診してください。
急性膀胱炎
膀胱粘膜に細菌が感染して炎症を起こしています。抗生物質の投与で症状は比較的改善しやすいのですが、再発を繰り返すことが多いため、泌尿器科を受診してしっかり治療を受けることが重要です。排尿の最後にしみるような強い排尿痛を起こすことが多く、頻尿、尿の白濁、血尿を起こすこともあります。
尿路結石
尿に含まれている成分が結晶化したものが結石です。結石がある場所によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石に分けられます。尿管結石は細長い尿管に結石が詰まりやすく、激しい痛みを起こすことが多くなっています。尿管結石では、下腹部や腰、わき腹に強い痛みを起こすことがあり、発熱や吐き気を生じることもあります。尿路結石は、顕微鏡的血尿を起こすこともありますが、目で見て確認できる血尿を生じることもあります。
泌尿器のがん
血尿は、腎臓がんや膀胱がんの初期症状として現れることがあります。早期発見のためにも、血尿があった場合にはできるだけ早く泌尿器科を受診しましょう。
なお、前立腺がんは進行してから血尿の症状が現れるため注意が必要ですPSA検査が早期発見に有効です。血尿がある、健康診断で尿潜血陽性を指摘された、残尿感がある、頻尿、排尿困難などがある場合には、早めに泌尿器科を受診してください。
血尿の治療
問診で症状や他の疾患の有無とその内容についてくわしくうかがい、採尿して分析や尿細胞診を行います。必要に応じて血液検査、超音波検査などを行います。肉眼的血尿がある場合には、がんも疑われるため尿細胞診が必要になります。細菌感染が原因で起こっている疾患であれば抗生物質による治療が有効です。
結石の場合には痛みなどの症状を緩和させる治療を行い、自然排出が可能か破砕治療を行う必要があるかを見極めます。それ以外の病気の場合も、状態などに合わせた適切な治療を行っています。