在宅自己導尿管理を要する方へ
当院では、自己導尿管理のため定期的に泌尿器科受診が必要な患者さんに、自己導尿管理と指導を行っています。新たに管理や指導が必要な場合はもちろん、現在他院に通院している方でもお気軽にご相談ください。
尿道留置カテーテル管理を要する方へ
泌尿器科において、排尿管理はとても大切です。疾患などによる排尿困難があって、尿道カテーテルや腎臓・膀胱から体外につながるカテーテルを留置している場合、当院で交換をすることが可能です。カテーテル管理が必要な場合、お気軽にお問い合わせください。
これから自己導尿を導入する方へ
自己導尿とは
自己導尿とは、患者さんご自身で尿道から膀胱に管を挿入し、尿を排出する方法です。
自己導尿は、疾患の症状などによって尿を出すことができなくなった場合や、排尿後も膀胱内に大量の残尿がある場合に、膀胱に残った尿を出す手段として行われます。当院では、患者さんが正しい方法でしっかり続けられるよう、経験豊富な泌尿器科専門医が丁寧に指導しています。
尿をうまく外に出せなくなる原因
外傷性脊髄損傷
脊髄に損傷を受けると排尿をコントロールする神経も傷付き、排尿障害を起こして自己導尿管理が必要になるケースがあります。
骨盤内手術後
直腸がんや子宮がんの手術では、膀胱をコントロールしている神経が傷付いて排尿障害を起こすことがあります。がんが周囲に浸潤していて神経の合併切除を行った場合には、排尿障害が必ず起こります。
低活動膀胱・膀胱機能低下
自己導尿が必要になる原因として、最も多いのが低活動膀胱や膀胱機能低下です。膀胱をコントロールする神経に異常が起きて起こる排尿障害や、膀胱の知覚低下によって大量の残尿が常にある状態になり、自己導尿が必要になります。
低活動膀胱や膀胱機能低下は疾患の症状として起こり、原因疾患には糖尿病、神経疾患、頚椎症やヘルニアなどの整形外科疾患、前立腺肥大症、膠原病などによって起こります。また、加齢によって生じることもあり、原因がわからない場合もあります。
前立腺肥大症
前立腺は尿道を囲むように存在しているため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫されます。圧迫が強くなると尿が出にくくなり。治療によって縮小するまでは一時的な自己導尿が必要になることがあります。
自己導尿が必要になる基準
尿閉といって尿が全く出ない場合には、自己導尿が不可欠です。また、尿が出ていても膀胱内に残尿が常にある状態の場合には、自己導尿が必要かどうかを検査で調べる必要があります。超音波検査で残存している尿を測定し、常に200ml以上の尿が膀胱内に残っている場合には、自己導尿をおすすめしております。
尿が大量に残っていても無症状のことがよくあります
膀胱内に200mlの尿が残っていても、膀胱の知覚が低下していると尿意を感じにくくなり、特に違和感を覚えず無症状というケースは少なくありません。成人が膀胱にためられる上限に近い400~500mlたまっていても尿意をほとんど感じないこともあります。
なぜ、自己導尿が必要なのか
膀胱の中に常に尿が残っていると、尿路感染症や腎機能低下のリスクが上昇します。また、膀胱の残尿が多い状態が続くと膀胱が常に引き伸ばされている状態になり、収縮力が低下して膀胱機能の低下につながることがあります。自己導尿によって膀胱を空にすることで本来の膀胱の機能回復につながります。膀胱機能が回復して残尿が減少した場合には、自己導尿治療は終了します。
自己導尿をはじめるにあたって
自己導尿は、正しい方法で続けることが重要な治療です。尿が全く出ない尿閉の場合には自己導尿の大切さが理解しやすいと思いますが、自力で少し排尿できる場合はつい管理がおろそかになってしまうこともあります。そうした方にとっても、尿路感染症の予防や腎機能低下、腎臓病などリスクの高い疾患を予防し、膀胱機能低下の回復につながる自己導尿は大事な治療です。医師の指示通りに正しく続けることが重要です。
実際の自己導尿について
ご自分では導尿が難しい方の場合、ご家族へお導尿手技指導も行っています。お悩みがありましたら、ご相談ください。
方法
- 手を洗います。
- 衣服を下げ、導尿しやすい姿勢になります。
- 清浄綿でおしっこの出口である尿道口をきれいに拭きます。
- カテーテルを尿道口に挿入します。
- 尿が完全に出なくなるまでカテーテルを挿入したまま待ちます。
- カテーテルをゆっくり引き抜きます。
- 使い捨てカテーテルの場合は引き抜いたカテーテルを捨てます。再利用型の場合には、消毒薬で満たされた専用のケースにしまいます。
なお、女性は外尿道口の位置がわかりにくいため、最初は鏡を使って行います。探すポイントをわかりやすくお伝えしながら丁寧にご指導します。また、慣れてくると鏡を見なくてもカテーテルの挿入ができるようになります。
カーテルの種類
1回ごとに使い捨てのカテーテルと、再利用型カテーテルに分けられます。患者さんのお話をうかがい、両方のカテーテルの特徴などをくわしくお伝えして、ご自分に合ったものを選択いただきます。
導尿回数
1日の導尿回数は、自力で尿がどのくらい出せるか、1日の尿量、残尿の程度によって変わります。膀胱が引き伸ばされないよう、膀胱内に400ml以上たまらないような頻度で行うことが重要です。自己導尿をはじめる際には、朝・昼・夕・就寝前の1日3~4回の頻度で行うことが多く、症状や尿量に合わせて回数を調整していきます。
副作用
主な副作用には、カテーテル挿入時の痛みや不快感、尿路感染症などがあります。まだ慣れていない導入初期に起こりやすく、次第にこうした副作用が起こる頻度は減っていきます。なお、感染症予防のために、導入後の1週間は抗生物質を投与します。
自己導尿と尿道留置カテーテルの違い
尿が出なくなった場合には、自己導尿か、尿道から膀胱にカテーテルを留置するかのどちらかとなります。留置カテーテルを入れると、尿はカテーテルから勝手に排出されますが、膀胱が収縮することがなくなるため、今後自力で排尿することはありません。また、常にカテーテルが留置されていると、慢性的に尿路感染のリスクが高くなり、尿路結石もできやすくなります。日常生活に制限がなく、自己導尿と尿道留置カテーテルのどちらかを選べる場合には、まずは自己導入を受けるようおすすめしています。
なお、寝たきりなど、1日の大半をベッドで過ごす場合には、自己導尿がご本人と介助者の負担になってしまうことが多いため、尿道留置カテーテルをおすすめしています。